子育てと両立させたい

● 子育ての時間を大切にしたい

転職を考えるきっかけとなるのが「出産・子育て」です。看護師は特に妊娠に伴い、妊娠中毒や早産の危険が高いとされています。母と子の安全を考えて出産を期に一度退職し、子育てに専念することを考える看護師さんがたくさんいます。
待機看護師は54万人超といわれており、深刻な看護師不足の中、子育て中で休職している看護師が働き続けられる職場づくりが進み始めています。短時間勤務やフレックスタイム制、育児休暇を取りやすくするといった様々な制度が保障されています。
子育ての時間を大切にしたい看護師が増える中、病院側が子育て支援を積極的に行っていることをアピールし、より経験豊かで優秀な看護師を獲得しようという動きもあります。

● 5年以上のブランクがあると復帰をためらう

子育てに専念する期間は、勤務先や保育園の状況、祖父母の協力が得られるかどうかによって変わってきます。子供はすぐに成長しますので、2~3年は思い切って主婦に専念するという方もいます。若いうちに産んだ方がと5~10年休む人もいます。
けれども医療現場は急速に進歩しており、5年も現場を離れてしまうと医療機器も薬も看護処置まで全く変わっていて、復帰後に大変苦労するといいます。10歳も年下の看護師から指導はともかく「腕試し」されてしまう現実に耐えられないと感じる方も…。とはいえ経験がある看護師ですから、現在までの看護のギャップを数か月で埋めることができ、後は以前のように仕事ができるといいます。
この長いブランクを素早く埋め、スムーズに復帰できるようにするための「リワークプログラム」が各所で開催されています。

● ブランクがある看護師のための研修

5年以上のブランクがあると看護師への復帰をためらう理由としては、「今の医療技術についていけるか心配」「5年も現場を離れていたらミスをして迷惑をかけるのでは」といった責任感から来るためらいがあるようです。
ブランクが長くてもスムーズに現場復帰するために、各地でリワークプログラムが開かれています。自治体や看護師協会、大学、就職支援サイト等、様々なところで行っています。それらの情報を入手して、チャンスがあれば研修に出かけるようにし、専門誌をチェックするようにする。あるいは、看護師の資格をさらに取得するための勉強をする等の工夫をすることで、ナースとしてのモチベーションを保つ工夫をすることでより復職がうまくいきます。

● ブランクを作らないために

実はキャリアを中断させてしまうと生涯で得られる給料に大きな差が出てしまうことがわかっています。できるだけキャリアを中断させず、働きながら子育てができるようにするため、看護師の求人は勤務制度も整い始めています。

【短時間勤務・フレックスタイムなどの利用】

子育て支援として、勤務時間帯の柔軟な対応が可能になりました。「短時間勤務」や「フレックスタイム制」のいずれかを選択できたり、本人の申請で常勤から非常勤への切り替えも可能になっています。ご自分の勤務先でこれらの前例がない場合は、「本人の申請があってから事業主が整える」とされていますので、事務さんに申請方法等を聞いてみましょう。

【ワークシェアリング・その他】

病院によっては、ママさん看護師3人で1人分の勤務時間を分け合う「ワークシェアリング」の方法をとっている所もあります。子供の急な発熱があったとき等、ママさん看護師が「つらい時はお互い様」と互いに協力し合って働くことができるので、とても心強いといいます。子供という共通の話題があることで絆が強まり、子育ての悩みなどを共有し合うことができたり、ノウハウを教え合ったりすることで子育てがとても楽になるといいます。そのほかにも公休の増加、連続休暇の取得を可能にする等、病院独自でさまざまな子育て支援対策を打ち出している病院もあります。

【超短時間のパートタイム制を設置】

育児期間中も看護師が育児終了後に復帰しやすいようにつながりを保つため、1か月に決められた時間数を勤務するという採用方法をとっている先進的な病院もあります。病院も集中的に戦力がほしい時間帯があり、その数時間だけ「パートタイム」の方を入れるという方法をとっている病院もあります。
数時間でも病院と切れないつながりを保つことで、「最新の看護知識や技術」を吸収することができますし、看護師としてのモチベーションや人とのつながりを保つことができます。病院にとっても復帰成功率が高まりますから、経験豊かで貴重な人材を手放すことがありません。病院側でも看護師にとってもWinWinな政策です。今はまだ先進的な病院が数例あるだけですが、今後広がっていってほしいものですね。

【福利厚生施設の充実】

病院によっては、子育て支援を充実させることでより経験の豊かな看護師を獲得しようとする動きが高まっています。そのため、正職員でありながら短時間勤務が可能な上、「院内保育園」「学童保育」「24時間の託児所」等を併設し、福利厚生を充実させている病院もあります。

★ 短時間正職員制度など
⇒ http://www.kyorin-igakukai.com/

● 7割が元の職場に復帰を願っている

子育てはとにかく急な休みを取らなければならないことが多いため、職場強力が万全でないととても大変です。
子育て中、迷惑をかけてはとパートや派遣、クリニックなどに転職を考える方も多いのですが、子育てをしながら人間関係を新しく構築しなければならず、また新しい職場に移ったことで仕事内容も大きく変わることもあり、復帰後はとても大変だといいます。できれば元の職場に戻りたいというのが本音。でも独身者が多い大学付属病院などで働くのは周囲から理解が得られず大変という声もあります。
子育てをしながら仕事もしっかりと両立している先輩看護師がいる病院では、後輩もいずれは自分もこうなりたいという良いモデルになります。結婚しても辞めなくてもいいのだという安心感の中、若い看護師も離職しない魅力ある職場づくりができていくことでしょう。

● 転職・再就職を考えた時は

クリニックは夜勤もなく定時で終わることができることから、子育てがひと段落して復帰する際に選択する方もいます。その反面、一般的にクリニックの看護師は人数が少ないため、急な発熱等により休みを取ることが難しいといったこともあります。
看護師がたくさんいる一般病棟では、そういった点では休みを取りやすいけれど、やはり夜勤や2交代制・3交代制であるため、子供との生活時間を合わせることが難しいといいます。
子育てからの復帰を考える際には、転職支援会社を利用して子育てに理解がある勤務先であるか、周囲の保育園や学童保育などの施設があるかといった子育ての環境についてよく調べてみてください。ママさん看護師が複数務めている所であれば、いざという時に頼りになるし、フォローしあうことができるでしょう。転職支援会社なら、口コミ情報も集めることができますので、子育て支援に関する詳細等について情報を広く集めることができます。

● パートナーや祖父母の協力が必須

子育てから復帰を考えるとき、やはりパートナーの意識改造が必要になります。勤務先の勤務形態にもよりますが、「家事も育児も女がするべき」といった旧来の考え方では、いずれ無理がたたってしまいます。
仕事への復帰前から少しずつ、洗濯や洗い物は夫の役割や、買い物もしてもらう、おむつ替えをしてもらう等、「育メンパパ」になるようにほめて伸ばしていきましょう。
最近では自治体でも「父子手帳」なるものを自主作成して、パパがミルクを作ったりおむつを替えたりできるように支援しているものもあります。Webで検索すると良いサイトが続々と登場していますし、参加型の講座もあります。
祖父母の協力が得られればいいのですが、最近では「第3の青春を謳歌する」といって子育てに非協力的な人が多くなってきています。旅行に社交に自由に時間を使いたいと考える人や定年の年齢も上がったことでまだまだ現役で働かなければならないといった事情もあり、頼めないこともあります。そのため、できるだけ育児のための施設が併設あるいは周囲にある病院を探すことも大切です。